重国籍と国籍選択日本は親が日本国籍を有していれば、子供の出生地が日本国内か外国かを問わず、子供にも親と同じ国籍を与える「血統主義(父母両系血統主義)」を採用しています。これに対してアメリカ、カナダ、ブラジルなどでは、その国で出生した子供に対して親の国籍を問わずに国籍を与える「生地主義」が取られています。この「生地主義」の国で「血統主義」を採る日本人の子供が生まれた場合、生地主義の国籍と日本国籍の双方を取得できる「重国籍」の状態が生じる場合があります。また、互いに「血統主義」を採る国(韓国・中国・フィリピン・インドネシア等)と日本の間に生まれた子供でも、現在は「父母両系血統主義」を採用している為、相手国籍と日本国籍を有する重国籍者となる場合があります。重国籍の防止日本は国籍唯一の原則により重国籍を認めてはいません。故に帰化申請の要件では「重国籍防止要件」が定められ、日本国籍取得後に重国籍者となることを防いでいます。その他、日本国籍者が自己の意思で外国籍を選択した場合には日本国籍を喪失することが定められています。また、外国で生まれた子供で、出生によって外国国籍を取得した日本国民は、一定の期間内に「国籍留保の手続き」をしないと出生の時に遡って(さかのぼって)日本国籍を喪失すると定められています。(国籍法12条、戸籍法104条)このようないくつかの規定により、重国籍の発生防止が図られています。重国籍者の国籍選択日本国籍と外国の国籍を持つ重国籍者は、18歳以前に重国籍者となった場合は20歳に達するまで18歳に達した後に重国籍者になった場合には2年以内に国籍の選択をしなくてはいけません。(国籍法第14条第1項) 成人年齢の引き下げ※令和4年(2022年)4月1日から、国籍の選択をすべき期限が変更されました。18歳に達する以前に重国籍となった場合⇒20歳に達するまで18歳に達した後に重国籍となった場合⇒重国籍となった時から2年以内令和4年(2022年)4月1日、民法の一部改正により、成人年齢が20歳から18歳に変更されました。これにより国籍法第14条第1項に定められた国籍選択の年齢が20歳から18歳に改められ、国籍の選択をすべき期限が変更されました。国籍選択の方法日本国籍を選択する方法として、外国籍を離脱することで重国籍を解消する方法と、日本国籍の選択を宣言する方法があります。(国籍法14条第2項)外国の国籍を離脱する方法 当該外国の法令により、その国の国籍を離脱した場合は、離脱を証明する書面を添付して市区町村または大使館・領事館に 外国国籍喪失届を提出します。日本国籍の選択の宣言をする方法 市区町村または大使館・領事館に「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届を提出します。 国籍選択届出日本国籍の選択宣言をすることにより、重国籍者の国籍選択義務(国籍法14条第1項)は履行したことになります。この日本国籍の選択宣言をしても、重国籍のもう一方国の法制度によっては国籍を喪失しない場合があります。そのような外国籍を有する方については、選択宣言後の外国国籍の離脱は努力義務とされています。(国籍法16条第1項)日本国籍の選択宣言をした結果、一方国の法制度によって重国籍が解消されない場合には、外国国籍離脱の努力義務を負います。この時、国籍選択義務は履行しているため、法務大臣からの催告を受けて日本国籍を失うことはありません。この日本国籍の選択宣言は、当人がその後、外国籍の権利や特権を行使しないことを宣言するものです。それに反して自らの意思で外国の公務員に就任などした者は、選択宣言の趣旨に著しく反するして日本国籍を失う場合があります。(国籍法第16条第2項)当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。