愛知一宮市のなかむら行政書士事務所です。遺言書の作成、遺産分割協議書の作成、相続手続きを扱っております。

相続の知識

遺言の方式

遺言の知識

遺言の方式には普通方式と特別方式があります。特別方式は死亡の危急が迫った時や通常の場所と隔絶された時など特別な状況下で利用されるため、一般の相続の事前手続きという意味では関係ありません。
普通方式には自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言があります。相続手続きで主に利用されるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

 

なぜ秘密証書遺言の利用は少ないのか

秘密証書遺言は遺言内容を誰にも知られる事なく、その「存在」を公証役場の公証人に証明してもらうものです。しかし、遺言書自体は本人が作成する為、遺言書の要件を満たさず無効となる事もあります。また公正証書遺言のように公証役場で遺言書の保管はしてもらえない為(検索は可能)、ご自身で保管するか代理人に保管を依頼する事になります。
手数料は、定額で1万1000円と有料で証人2名も必要となる為、年間100件ほどの利用にとどまっています。
自筆証書遺言と同様に、相続開始後には家庭裁判所の検認が必要になります。


自筆証書遺言について

自筆証書遺言は、遺言者自身で全文・日付・署名・押印して封書に入れて作成します。
作成した遺言書は遺言者自身で保管、または専門家に保管を依頼します。
自筆証書遺言の年間作成数は正確に分かりませんが、家庭裁判所の検認数は平成28年で17,205件になります。

メリット

  1. 自分で作成するので費用が殆どかかりません。

デメリット

  1. 自分で保管するので滅失・毀損の危険があります。
  2. 相続開始後には、家庭裁判所の検認を受けなくてはいけません。

家庭裁判所の検認とは

家庭裁判所

遺言書の保管者または発見者は、相続の開始後に遺言書を家庭裁判所に提出して検認の申立をしなくてはいけません。

この検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせ、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言内容が有効か無効かを決めるものではありません。
検認の申立は、申立書と被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本及び相続人全員の戸籍謄本等の必要書類とを集め、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
申立後、全ての相続人に対して検認日時の通知がされます。この時、検認に参加するかどうかは本人の自由です。
検認手続き終了により「検認済証明書」が添付され、遺言書が返還されます。検認の申立から検認の終了までは1ヶ月程度かかります。この期間は遺言書を根拠とする金融機関の手続きや不動産の登記手続きができないので、相続手続き自体を進める事ができません。
残されたご家族にとっては大きな負担となることが予想されます。

 

自筆証書遺言作成Q&A

Q&A

家族が書いた遺言書に本人が署名をしたものは有効ですか?

自筆証書遺言は全て自分で書かなくてはいけません。ワープロやパソコンで作ったものは認められません。テープレコーダーに遺言者の肉声を吹き込んだものも、それだけで有効とはなりません。
遺言者が指示をして他人が書いた遺言書に、本人が署名押印しても無効です。
遺言者に添え手をする事は、正しい位置に導く事や当人の意思で書いたことが判定できる場合は有効になります。

日付はどう書くの?

日付は遺言書の作成年月日を書きます。○月吉日では特定できないので無効です。
日付は遺言の成立時期を明らかにして遺言者の遺言能力を判断すること、また遺言書が複数枚あるときは新しいものが有効となるため重要となります。

署名はどう書くの?

署名は氏名を戸籍謄本の通りに書いてください。旧字体が使われている時はその通りに書いてください。本人特定の為に重要です。

印鑑は実印を押すの?

印鑑の種類に規定はありませんが、なるべく実印を使ってください。遺言書に印鑑登録証明書を添付する事で、信頼性を高めることができるからです。

訂正インクは使ってもいいの?

訂正方法は決まっています。
訂正場所を示して変更した旨を記し署名をします。さらに変更場所に印を押す方法で訂正しますが、できるだけ書き直しましょう。遺言書の信憑性の問題になります。

封書はどう作るの?

遺言書に押印した印鑑を使い封印をします。封書には「開封を禁ずる」と記し、さらに「遺言者の死後速やかに家庭裁判所の検認を受ける事」と記します。
封書にも署名押印をしておきましょう。

公正証書遺言とは

公正証書遺言

公正証書遺言は、公務員である公証役場の公証人に遺言内容を陳述し、公証人がその内容を確認をした後、遺言者と証人2人の確認を取ります。確認後、遺言者と証人が署名押印をします。最後に公証人が署名押印して作成します。
公正証書遺言の年間作成件数は、平成29年で110,191件になります。

    メリット

  1. 相続開始後の検認は不要です。
  2. 遺言書の原本が保管される為、滅失・毀損の心配がありません。

    (遺言検索システムにより検索可能)

  3. 病気等で公証役場に行けない時は、公証人に訪問してもらい作成する事ができます。(出張費が必要)

    デメリット

  1. 作成費用がかかります。(財産と遺言内容により変わる)
  2. 作成に時間と手間がかかります。
  3. 証人2人が必要です。
  4. 公証人と証人に遺言内容が知られます。

公正証書遺言の費用

公正証書費用

  1. 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとに財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめてこれらの手数料額を合算して、遺言書全体の手数料を算出します。
  2. 遺言加算といって、全体の財産が1億円以下のときは、上記によって算出された手数料額に、1万1000円が加算されます。
  3. 祭祀の主催者の指定をすると、1万1000円が加算されます。祭祀の主催者とは葬儀や法事などを代表して行う人であり、墓地やお墓、仏壇、家系図などの所有者となる人です。
  4. 遺言書の原本は公証役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本についてはその枚数が4枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また、正本と謄本の交付にも1枚につき250円の手数料が必要となります。
  5. 遺言者が病気又は高齢等のため公証人が病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には、上記の手数料が50%加算されるほか、公証人の旅費(実費)と日当(1日2万円、4時間までは1万円)が加算されます。

計算例
総額3,000万円の財産を、配偶者に2,000万円、子供2人にそれぞれ500万円ずつ残す場合
2万3000円(配偶者の手数料)+1万1000円(子供1人の手数料)×2人+1万1000円(遺言加算)=5万6000円(その他交付手数料が1,000円程)

公正証書遺言の証人とは

証人

自筆証書遺言の作成に証人は不要ですが、公正証書遺言と秘密証書遺言の作成には証人2人が必要となります。

この証人とは、遺言が遺言者の真意から出たものである事を証明する人です。秘密証書遺言の場合は遺言内容は遺言者しか知らない為、証人の役目は立会人(遺言成立の事実を証明する)ということになります。
証人は公証役場で紹介してもらえます。(有料)
遺言者がご自身で選任する場合は、

  • 未成年者
  • 遺言者の相続人、遺言で財産を貰う人、これらの配偶者、直系血族
  • 公証人の配偶者、公証人の四親等内親族、公証役場の書記や使用人
  • 遺言内容を理解できない者や署名できない者

は証人になれないので注意してください。


相続手続きの期限

相続手続きは様々なものがありますが、相続放棄準確定申告相続税の申告については期限が定められています。

相続放棄

相続放棄

相続放棄は、自己のために相続が開始された事を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てます。この3ヶ月の期間を熟慮期間といい、この間に「相続するのか放棄するのかを考えてください」というものです。

熟慮期間の延長は家庭裁判所に申し立てて行う事ができます。

 

チェック
相続放棄をすると相続人の順位が変化します。
例えば...
夫が亡くなり相続人は妻と子供1人。相続財産の調査で夫に多額の負債がある事が判明した為、相続放棄をすることにしました。すると妻と子は相続放棄により最初から相続人ではなかった事となり、第2順位である夫の直系尊属(夫の父母)が相続人となります。
何も知らされていない夫の父母は、いきなり多額の負債の相続人となった事を知りビックリします。
相続放棄をする場合は、その後相続人となる方に事前に相続放棄をする事を伝えることが重要です。

 

チェック
熟慮期間内に相続放棄をしなかった理由が相続財産が全く無いと信じたためで、その理由も認められるときは、熟慮期間は財産の全部を認識した時から起算されます。
(つまり、マイナスの財産は無いと考え相続放棄はしなかった。しかし後からマイナスの財産があるとわかったときは熟慮期間が経過していても相続放棄はできるという事です)

 

チェック
相続放棄をすると最初から相続人ではなかった事になる為、代襲相続は生じません。

代襲相続とは

被相続人の子が、

  1. 相続開始前に死亡した時
  2. 欠格事由に該当した時
  3. 廃除により相続権を失った時

は、その者の子が代襲して相続人となります。代襲者が同じく死亡・欠格・廃除となった時は代襲者の子が代襲(再代襲相続)します。

 

相続手続き
相続人が兄弟姉妹のとき代襲原因が生じた場合は、兄弟姉妹の子(甥・姪)が代襲して相続人となります。しかし、この甥・姪に代襲原因が生じても再代襲相続は生じません。
兄弟姉妹の代襲相続は一度限りなのです。

準確定申告

準確定申告確定申告すべき人が亡くなった場合、相続人が代わりに確定申告することです。
被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を算出して、相続の開始があったことを知った日から4ヵ月以内に被相続人の死亡当事の納税地の税務署に申告します。

 

被相続人が給与所得者であり、1ヶ所から給与を受けていた場合は準確定申告の必要はありません。
準確定申告が必要な場合とは、

  1. 事業所得、不動産所得、がある場合。
  2. 2箇所以上から給与を受けている場合。
  3. 給与の収入金額が2,000万円を超える場合。

などがあげられます。
被相続人が事業を行っており、消費税の課税事業者である場合は、消費税についても所得税と同じ申告が必要になります。

相続税の申告

相続税

相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税します。

相続税は、基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超える遺産に対してかかります。

相続財産が4,000万円で、法定相続人が妻と子供2人の場合
3,000万円+(法定相続人3人×600万円)=4,800万円が基礎控除額となります。
相続財産4,000万円で基礎控除額は超えないため、相続税はかかりません。

相続税がかからない場合は原則として申告の必要はありませんが、相続税の配偶者控除小規模宅地の特例を利用した場合は申告の必要があります。

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