帰化申請書には、帰化後の本籍を記入する欄がありますので、申請書提出までに決めておく必要があります。
帰化が許可されると官報に告示され、その効力は官報に告示されたとき(午前0時)から生じます。しかし、帰化したからといって戸籍は自動的には作られません。
戸籍編製の為、官報告示の日から1ヶ月以内に「戸籍法上の帰化届」をする必要があります。(戸籍法102条2)
帰化後の戸籍の作られ方
夫婦が共に帰化した場合
外国人には元々戸籍がありませんから、その夫婦について新しく戸籍が編製されます。
夫婦は同じ姓を名乗る必要があり、同じ戸籍に記載されます。
帰化許可申請書の帰化後の氏名欄に、夫婦どちらの氏を称するのかを記載しておきます。これによりその者を筆頭者とする戸籍が編製されます。
筆頭者とは
筆頭者とは、戸籍の一番上に記載されている人の事で、代表者とも言えます。
帰化許可申請書の帰化後の氏名の欄に夫の氏を称すると記載すれば夫、妻の氏を称すると記載すれば妻を筆頭者とする戸籍が編製されます。
日本人の配偶者が帰化した場合
@帰化した者が日本人配偶者の氏を称すると決め、その日本人配偶者が筆頭者ならば、帰化した者はその日本人配偶者の戸籍に入ります。
この時、日本人の子供が既に戸籍に入っている場合には、帰化した者はその次の枠に記載されます。新しく入籍した者は、一番下に記載されます。
日本人配偶者が筆頭者ではない場合には、その日本人配偶者の戸籍を新しく編製し、帰化した者がその戸籍に入ります。
A帰化した者の氏を称すると決めた場合、その帰化した者を筆頭者とする新戸籍が編製され、日本人配偶者がその戸籍に入ります。
既に子供がいる場合
Aの時、既に日本人配偶者との間に子供がいる場合には、子供は自動的に帰化した者の新戸籍には入りません。原則日本人配偶者の戸籍に残りますが、通常親子は同じ戸籍とすることが多いので、子供の入籍届を行います。この時、子供の氏の変更に家庭裁判所の許可は不要です。
親子が共に帰化した場合
親子が共に帰化した場合や帰化した者の親が日本人の場合は、子は通常は親の戸籍に入ります。
親子が共に帰化した場合に、子が親と異なる氏や本籍を定めた場合には、その子について新戸籍が編製されます。
また、子に配偶者や子がある場合にも新戸籍が編製されます。
戸籍の記載内容
帰化後の戸籍の身分事項には「帰化」の欄が設けられ、
【帰化日】平成○○年○月○○日
【届出日】平成○○年○月○○日
【帰化の際の国籍】○○国
【従前の氏名】○○○
と記載されます。
本籍について
帰化許可申請書には、帰化後の本籍を記入する欄があります。
本籍とはその人の戸籍上の住所と言うべきものです。対して本籍地は戸籍を管理する市区町村役場です。
今後、戸籍を取得する場合には本籍を記入し、戸籍を管理する本籍地の市町村役場に対して請求することになります。
この本籍は国内ならば何処にでも定めることは可能ですが、土地台帳に記載された正確な場所であることが条件となります。
有効な本籍として登録可能かどうかは、市町村役場の窓口で確認することができます。
転籍
本籍は戸籍の住所というべきもので、移動させることが可能です。
これを転籍と言い、同一市区町村での転籍と他の市区町村への転籍があります。
転籍をすると帰化の事実を戸籍から消せるという情報がありますが間違いです。
他の市区町村に転籍をすると、転籍後の戸籍に帰化の事実は移記されませんが、転籍前の戸籍は除籍として残ります。
帰化の事実を全て消し去ることはできません。